地球上に同時に3つの異なる日付が存在する瞬間がある
世界にはUTC-12からUTC+14までのタイムゾーンがあり、ある瞬間には地球上に3つの異なる暦日が同時に存在することを解説する。
世界には最西端のUTC-12から最東端のUTC+14まで、実に26時間分にもおよぶタイムゾーンの幅が存在する。この幅の広さゆえに、地球上のある特定の瞬間には、理論上3つの異なる暦日が同時に存在していることになる。
UTC10時台に起きていること
たとえばUTCで10時00分から10時59分までの1時間を例に考えてみる。この瞬間、日付変更線のもっとも西寄り、つまり地球上でもっとも早く新しい日を迎えるUTC+14のタイムゾーン(キリバスのキリティマティ島などが該当する)では、すでに日付が変わって「翌日」になっている。一方、UTC±0付近のイギリスや西アフリカ諸国では、暦の上ではまだ「その日」の午前中である。そしてUTC-11以西、たとえばアメリカ領サモアのような地域では、時計はまだ「前日」の夜を示している。
理論上、常に発生している現象
つまりこの瞬間、地球上には「翌日」「その日」「前日」という3つの異なる暦日が、同時並行で存在していることになる。これは特別な日にだけ起こる珍しい現象ではなく、UTC-12からUTC+14までの26時間分のタイムゾーンが存在する以上、理屈の上では毎日、必ずどこかの1時間帯で発生している構造的な現象である。
日付変更線がもたらす不思議
この現象が起こる根本的な原因は、地球上のどこかに「今日と明日の境界」を人為的に引かなければならない、という日付変更線の仕組みそのものにある。24時間しかない1日を、経度にして360度、時差にして最大26時間分ものタイムゾーンに割り振ろうとすれば、境界付近でこうした重なりが生じるのは避けられない。ふだん私たちが当たり前のように使っている「今日」という感覚が、実は場所によって大きく揺らぐ相対的なものであることを、この現象は端的に示している。
大晦日に起きる象徴的な瞬間
この「3つの日付」現象がもっとも象徴的な形であらわれるのが、大晦日から元日にかけての時間帯である。UTC+14のキリバスやサモアなどでは、世界のどの国よりも早く新年を迎える一方、UTC-11のアメリカ領サモアなどでは、その時点でまだ大晦日どころか前日の日付を過ごしていることさえある。同じ瞬間に「もう新年を祝っている国」「まだ大晦日を過ごしている国」「さらにもう1日前の日付にいる国」が地球上に同居しているわけであり、新年を迎える瞬間ほど、この日付の同時多発性が実感しやすいタイミングはないといえる。